「尚くん、起きてたんなら、もっと早く起こしてくれてよかったのに」

「ごめん。だってすごい気持ち良さそうに寝てるからさ」

 尚樹とミクリは、何度目かの朝を迎えていた。

「尚くん、今日は何作るの?」
 自前のジャージを着たミクリが、台所に立つ尚樹に駆け寄る。

「魚食いたいから、イワシ焼こうと思って。あと、大根と豆腐の味噌汁。まだまだかかるから、ミクリはテレビ観てていいよ」

「うーん。あ、じゃあ! あたし、米とぐよ」

「あはは、まじで。頼むわ」

 ミクリは不慣れな手つきだったが、一生懸命米をといだ。

 そんなミクリを、尚樹は目を細めて見ていた。