ミックス・コーヒー

「なんか、不安になっちゃったよ。自分のしていることが、独りよがりの綺麗事なんじゃないかって。挙句の果てに、もともと関係ない尚樹くんや貴之くんまで巻き込んじゃって……」

 ミクリが、亀のぬいぐるみに顔を埋める。

「あたしは本当のことを知りたいだけなのに。それを知ることが、こんなに大変なんて」

 ぬいぐるみに声が吸収されて、よけいに弱々しく聞こえた。


「おれは、ミクリと美葉の為に役に立ちたいと思ってる。ただ、それだけだよ」

 尚樹が、ミクリの髪を撫でる。

「それに、巻き込まれたなんて全然思ってないよ。むしろ、巻き込まれにいったって感じかな」

「それって、なんか違うの?」

「全然違うよ。おれの意思だよ。貴之も同じだと思うよ。あいつも美葉のことになると変わるから」

 そっか……と、ミクリは少しだけ微笑み、また亀に顔を押し付けた。