ミックス・コーヒー

 その美葉の表情は、ミクリから見て、とても頼もしく感じた。

「美葉、お姉ちゃんみたい」

 ミクリから、ふっと笑みがこぼれた。
「あ、一応お姉ちゃんか」

「でも、昔は先に生まれた方が妹で、後に生まれた方が姉だったらしいよ。だから、ミクリがお姉ちゃんでもいいんだよ」

「えっ、そうなの?」

「きんさんぎんさんがそうだったんだって」

「まじで。でも、ずっとあたし妹のつもりでいたからなあ」

「いいじゃん。どっちかっていうとミクリの方がお姉ちゃんっぽいし。格好もお姉系だし」

「ええっ! 関係ない、関係ない! ていうか美葉の方が綺麗だって!」



「……ごめん、どうしても言いたい! どっちが姉だろうが妹だろうがどうでもいいし、結局双子だし! どっちが大人っぽいとか綺麗とかどうでもいいし、結局双子だし!」

 どうしても我慢出来なくなった貴之がそう叫ぶと、店内は一瞬シン、となった。が、その後、尚樹が笑い出したため、一転して空気が緩んだ。



 彼らはそれぞれ、この空間に居心地の良さを感じていた。