②

「あの人達、なかなか信頼できる感じだね。あたしのことも、それほど気にしてなかったし」

 シゲと沢下が帰り、彼らの使用したコーヒーカップの片づけを手伝いながら、ミクリが言う。

 ミクリは、シゲと沢下に会うのは今日が初めてだった。

「いやー。でもシゲさんは驚いてたろ、かなり」
 尚樹が笑う。

「あたしたちが、ハート河内の子だって言ったらもっと驚くかな」
 ミクリも笑いながら、そう付け足したが、その笑顔はどこか苦しげだった。

「どうした? 美葉」
 貴之の視線の先には、先程からカウンター席に座ってボーっとしている美葉の姿があった。

「話に疲れちゃった?」
 ミクリも心配そうに声をかける。