尚樹が話を続ける。
「美葉は、なんであんな土砂降りの中、あんな所にいたの?」

「……待ってた」

「何を?」


「誰かに、拾われるのを」


 美葉の言葉は、二人にとって衝撃的だった。

「危ないよ。女の子が一人であんな場所に座ってたら。それこそどんな奴に拾われるかわかんないよ」
 尚樹が少し声を荒げる。温厚な彼にしては珍しいことだ。


「この際、拾ってくれるなら。誰でも良かった」