ミックス・コーヒー

 尚樹が「うーん」と唸る。
「ここ最近……いなくなる前とか、彼女、なんかおかしいところはなかった?」
 
 李が少し考え込んだ。

「……ア。モウスグ、オ金ガ手二入ルカモシレナイ、言ッテタ」

「お金?」
 貴之と尚樹が顔を見合わせる。

「詳シクハ、ワカラナイ……アト、アヤシイ男、イタ」

「どんな人だ?」
 貴之が身を乗り出す。

「イツモ黒イスーツ。オトナシイケド、ナンカ普通ジャナカッタ。四十歳位」

「その人、菅浦エリカがいなくなってからも来たのか?」

「ウウン。キテナイ」

「そうか……」
 貴之はそう言うと、しばらく無言になった。



 黒いスーツの、怪しい男。