ミックス・コーヒー

「こちらで働くようになってから、日本語がとても上手になったんです」

「なるほどな」
 なんとなく気は進まないが、貴之が一応頷く。

「どちらの私をご希望ですか?」

「より簡潔な方だな」

「ジャア、カタコトモードデス」

「あ、そっちなんだ」



「李、ここに菅浦エリカっていう人がいたろ?」
 尚樹の言葉に、李は静かに反応する。

「パディサン……」

「パディ?」
 貴之が聞き返す。

「店デハ、コノ名前ダッタヨ」

「国設定めちゃくちゃだな。この店」

「パディサン、十日位前カラ休ンデマス」

「彼女から連絡はないの?」
 尚樹が聞く。

「ナイデス。パディサント連絡取レタ人、誰モイナイ」