ミックス・コーヒー

「……って、おまえ、だから李じゃねえか!!」
 貴之が見覚えのある顔に向かって叫んだ。

「ヤメテヨ、ヤメテヨ。シャチョサン、営業妨害ヨ」

「おまえのどこが、さゆりさんだ! 明らかに日本人以外の血が流れてるだろ!」
 
 まあまあ、と尚樹がなだめる。
「久しぶりだな、李」

「渡辺さん、あの時は大変お世話になりました」

「ん。今、かなり流暢になったよ」
 貴之が首を傾げる。

「シャチョサン。キノセイ、キノセイ。ワタシ、カタコトヨ」

「そうか……」

「李、実は今日、君に聞きたいことがあって二人で来たんだ」

「聞きたいことって? 渡辺さん、なにかあったんですか? 私に出来ることがあれば、ぜひ協力させてください」

「……おいおいおい、ちょっと待て! バカにされてるとしか思えねえ!!」