美葉は聞きたくないのだが、河内は勝手に話し続ける。

「彼女に夫がいることはもちろん知っていた。でも、私はどうしても諦めらなかった。そして、彼女も私を受け入れてくれた……」

 うつむく美葉の手を、ミクリがいつのまにか握っている。

「そして、君達を授かった。彼女も私も、相当悩んだが……産んだ。そして、やがて私の子だということを、改めて彼女から聞いた」

 貴之と尚樹も、カウンターのそばに立って、黙って聞いている。

「しかし、その頃には彼女はもうかなり有名になっていて人気もすごかった。私もそれなりに知られていたので……このことは私達だけの秘密にした。そして、その時、私達は関係を終わりにした」


 一通り言い終えた河内が、テーブルの上に額をつけた。