すると、化粧品のCMが流れた。
 彼は目を奪われる。

 アップのミクリが画面に映っている。

 毛穴など、全く見当たらない。
 とても、キレイだ。


 ……この人と、昨日会ったんだな、おれ。


 実物のミクリには、ちょっとは毛穴があったかもしれない。

 だが、とても、かわいかった。


「尚樹さん」

 自分を呼ぶ、彼女の声を思い出す。


 ……今度会ったら<尚樹くん>にしてもらおう。

 
 彼は、まだ少し寝ぼけていた。