「ミクリちゃん」

 尚樹の呼ぶ声に、ミクリの肩が僅かに揺れる。


 
「……あんまり、一人でいろいろ抱え込まないでね。いつでも遊びに来ていいから。美葉だけじゃなくて、おれ達も待ってるからさ」


「……はい」



 ミクリには、尚樹の笑顔や声はあまりにも優しすぎて、かえってそれが痛かった。



 この時、月明かりの下で、二人はそれぞれ形のわからないもどかしさを感じていた。