「……あたし、今日は本当に嬉しかったんです。元気な美葉に会えて……すごく心配してたから」
 ミクリの口調が、少しだけ静かになった。

「昔から、あの子はああいう性格だったんです。人と接するのが苦手で……でも、甘えん坊で」

 うん、と尚樹が相槌を打つ。

「だから、家族以外の人と暮らしてるって聞いて、最初は信じられなかった。でも、尚樹さん達に会って納得しました。すごく、安心した」


「……ありがとう」
 尚樹は、少し複雑な気持ちになった。

 ミクリは、今まで何年も美葉のことばかり気にしてたんだろう。

 そして、自分の親達の死にも納得できず、それをずっと一人で抱え込んできたんだろう。

 それなのに、今、彼女は明るく、しっかりとした口調で話し続けている。