「……やっぱり泣いちゃった」
 少し笑ってそう言う美葉の涙を、今度は貴之が拭う。



「でも、私、淋しくないよ。貴之が一緒に泣いてくれたから」



 貴之の唇が、美葉の頬に触れた。

 その夜は、貴之は自分が眠ってしまうまで、ずっと美葉の頭を撫で続けた。