その電話は、三人で晩御飯を食べている時に、鳴った。

『チャッチャ、チャチャッチャチャッチャ……』

「やべ、ガバチョが呼んでる」

「そっすか」
 最近、さすがの尚樹も貴之の<ひょっこり好き>に付き合いきれなくなってしまったのか、素っ気無い相槌を打つ。
 貴之はそれがリアルに淋しかった。

 画面に表示される着信の相手を確認する。
 貴之の表情がみるみるうちに変わっていった。
 脅えているようだ。

「……ガッ、ガバチョじゃねー!!」

「そりゃそうだ」
 今度は美葉だ。

 だが、貴之にはもはやそれどころではなかった。

 居留守を使おうかとも思ったが、なんとか思いとどまった。

 深呼吸をして、通話ボタンを押す。