「なぁに?
龍星、何の御用でお出かけしたの?」
二人の会話に気付いた毬が、子犬がじゃれつくように龍星の背中にまとわりついてくる。
毬は龍星から聞く妖(あやかし)の話が大好きだった。
「毬。
食事中に後ろから急に抱きつかないで。
零れるでしょう」
とりたててきつい口調で咎められたわけではないのだが、毬は叱られた子犬のようにしゅんとして龍星の隣に少しの間を空けて座った。
しょんぼりと垂れ下がっている耳と尻尾が目に見えるようで、雅之は頬を緩める。
「それで、どんな野暮用だったって?」
雅之が先を促した。
「今朝早く、屋敷の扉を叩く音に起こされた」
龍星は艶やかな声で話し始めた。
その話はこうだ。
龍星、何の御用でお出かけしたの?」
二人の会話に気付いた毬が、子犬がじゃれつくように龍星の背中にまとわりついてくる。
毬は龍星から聞く妖(あやかし)の話が大好きだった。
「毬。
食事中に後ろから急に抱きつかないで。
零れるでしょう」
とりたててきつい口調で咎められたわけではないのだが、毬は叱られた子犬のようにしゅんとして龍星の隣に少しの間を空けて座った。
しょんぼりと垂れ下がっている耳と尻尾が目に見えるようで、雅之は頬を緩める。
「それで、どんな野暮用だったって?」
雅之が先を促した。
「今朝早く、屋敷の扉を叩く音に起こされた」
龍星は艶やかな声で話し始めた。
その話はこうだ。


