砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「私、手伝うっ」

「あら、いつも申し上げているでしょう？
　お姫様は座っていれば良いのですよ」

「もう、華はいつもそういうのね。
　大丈夫、私だって上手に出来るんだから。心配しないで？」

「まぁまぁ、相変わらずですわ」
　
　どうやら、【それ】にもすっかり懐いて溶け込んでいるようだった。





「急に頼んで悪かった」

　食事を準備する間にどうぞと、先におかれた酒を注ぎながら、龍星が紅い唇を開く。

「いや、全然。
　俺はいつでも構わぬよ。
　それにしても、どうしたんだ？」

　雅之は杯を受け取り、龍星の杯に酒を入れながら聞いた。
　やれ、物忌だなんだと理由をつけては宮仕えをサボっている龍星が、今朝不意に今日は出かけたいから毬の面倒をみていてはくれぬかと連絡をよこしてきたのだ。
　理由が聞きたくなるのは自然なことだ。

「いや、つまらぬ野暮用だよ」

　龍星は酒で唇を湿らせながら、記憶を辿り突き放すような笑いを浮かべた。