砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「遅くなって悪かったね。
 もう、休みなさい」

 龍星が毬の耳元で囁く。

「嫌よっ
 今から雅之とお酒飲むんでしょ?
 私も混ぜてくれなきゃ嫌」

 眠そうな舌足らずな声で、毬が応えた。
 龍星は形の良い瞳を細めて笑った。
 子供を宥めるように、頭を撫でる。

「だったら、ここに居るといい。
 ここで夕飯にしてもいいかな?まだ、食べてないんだ」

「いいよ」

 言って毬は龍星からあっさり離れた。

 龍星が手を叩くと、家の者が食事の準備を始める。

 雅之の瞳には、それは美しい女房のようにも見えるが、決して人ではない。
 毬は【それ】の元に笑顔で駆け寄った。