砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 龍星はうっかり唇づけたくなる衝動を抑え、毬の艶やかな黒髪を撫でた。

「龍?」

 目を開けた毬は、子猫のように無邪気な瞳で龍星を見つめた。

「ただいま、毬」

「お帰りなさいっ」

 毬は笑顔を零して龍星にしがみついた。

「今日ね、素敵な馬に乗ったのよ」

「楽しかった?」

「うん、とっても。
 すっごく速くて、遠くまで見えるの。
 龍星も一緒だったら良かったのに。
 ねぇ、雅之」

「ああ」

 雅之は視線を逸らしたまま頷いた。
 まだ、【恋人】ではないのだろうが、甘い声で語り合う二人を直視するのは正直照れた。