砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 そのままふわり、と、龍星は自分の感情の赴くままに毬を抱き上げた。

「きゃぁっ」
 
 毬は怯えてというよりは、むしろ驚いて声を上げた。

「迷惑だったらこんなところに連れてきませんよ。
 そんなに遠慮されたら、むしろ淋しい」

 艶やかな紅い唇を、毬の耳元に近づけ、甘い声で囁くように言う。
 思わず照れて頬を染める毬の様子を見つめ、楽しむかのように笑う。

「龍星……様……。
 私、自分で歩けますから」

「降ろして欲しいの?」

 こくりと頷く毬は、まったくもって愛らしい。

「降ろしたら、一人でどっかに行ってしまうでしょ?」

「ここにいる……からっ」

 唇が触れそうなほど顔が近づいてきたようにも思えたので、毬は慌ててそう言った。

「そう、では、約束ですよ?」

 こくこくと、毬が頷くのを見届けてから、龍星はそっと毬を下へ降ろした。