砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 毬は庭に下りて、花を一つずつ眺めては遊んでいた。

 次第に日が翳ってくる。

 毬は庭から上がり、書物を読んでいる龍星に声を掛けた。

「ねぇ、龍星様。
 今日、雅之様ここにいらっしゃる?」

「約束はしてないので、分かりませんが。
 呼びましょうか?」

「ううん。
 どこに居るのか知ってたら、私、会いに行くわ」

「では、一緒に参りましょうか」

「……そんなの。
 龍星様にご迷惑だもの」

 ふるふると、毬は首を横に振る。
 ご主人様の機嫌を伺う仔犬そっくりのその瞳と仕草に、龍星は笑いを隠せない。