砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 毬は軽く食事を取って、庭の花を愛でていた。

 荒れ野のように放ってあるその庭は、毬に嵐山を思い出させていた。

「気に入りましたか?」

 縁側に座り込んで飽きることなく庭を眺めている毬に、龍星が声を掛ける。

「ええ、この庭に降りてもいいかしら?」

「どうぞ」

 龍星がパチと手をたたくと、そこに履物が現れる。

「これ……」

「どうぞ」
 
 呆気にとられる毬に、龍星は何を説明するでもなく、ただ、柔らかく笑って見せた。