砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 その言葉を聞いてもなお、うーん……と、毬は何かを思案する顔で唇を尖らせている。

「雅之様にお答えしないと。笛、続けるって」

「雅之のことなら心配いりません。
 姫のお具合が悪いことを心配していましたよ。
 笛の話は姫が元気になられてからです」

「本当?だったらいいけど……」

 毬は何かを考えるように唇を噛んだ。

「私、絶対怒らせちゃったんだもん」

 今にも泣きそうに瞳を潤ませている。
 ふあり、と、龍星の手の平が毬の頭を撫でた。

「では、心をこめて謝ればいい。
 それで赦してくれないような男から笛を習う必要はありません」

「本当に?」

 ふぅ、と、龍星は息を吐く。
 長い睫を軽く伏せる。その、整った顔から毬は目が放せない。

「姫には嘘をついたりしませんよ。だから、そう何度も本当かどうか確かめなくて大丈夫」

 大丈夫、と言って、龍星が再び甘い微笑を向けるので、毬はなんだかほっとしてようやく口元を微笑ませた。