砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「龍星、邪魔をするでないっ」

 千の鋭い声が飛ぶ。
 苛々が募り制御不能になった、声。

「出世に響くぞ」

 帝の后ならではの、重みのある言葉。
 しかし、龍星は顔色一つ変えない。

「構いません。
 こんな狭い世界で上り詰めたからといって何になりましょう」

「龍……」

 予想外の返事に、千は思わずたじろいだ。

「そのようなことよりも、御台様にお見せしたいものがあります。
 どうぞ、こちらへ」

 龍星はまるで珍しいものでも見せるような気安さでそういうと、少し時間をかけて部屋の真ん中の畳をはぐって見せた。