翌朝
まだ、毬が目覚めぬことを確認した龍星は、夕べ遅くまで一緒に飲んだ雅之と共に御所に向かった。
昨日の今日なこともあり、約束も取り付けていないというのに、帝に簡単にお目通り出来た。
挨拶もそこそこに本題に入る。
「本日は、御台様、左大臣様にもご同席していただきたく存じます」
帝がお付のものに告げ、しばらくすると御簾越しに千が現れた。
龍星が丁寧に挨拶をしようとすると
「そのようなものは無用です。
帝、恐れながら今日は龍星と二人きりで話がしたいのです。
お許しいただけますか?」
と、毬そっくりな声で言った。
「千がそこまで申すなら、私は構わぬ」
「しかし、左大臣家まで足をお運びいただかねばなりませんが」
龍星が遠慮がちに、しかしきっぱりと言った。
「それも私と龍星だけで良いでしょう」
千の返事には淀みがない。
まだ、毬が目覚めぬことを確認した龍星は、夕べ遅くまで一緒に飲んだ雅之と共に御所に向かった。
昨日の今日なこともあり、約束も取り付けていないというのに、帝に簡単にお目通り出来た。
挨拶もそこそこに本題に入る。
「本日は、御台様、左大臣様にもご同席していただきたく存じます」
帝がお付のものに告げ、しばらくすると御簾越しに千が現れた。
龍星が丁寧に挨拶をしようとすると
「そのようなものは無用です。
帝、恐れながら今日は龍星と二人きりで話がしたいのです。
お許しいただけますか?」
と、毬そっくりな声で言った。
「千がそこまで申すなら、私は構わぬ」
「しかし、左大臣家まで足をお運びいただかねばなりませんが」
龍星が遠慮がちに、しかしきっぱりと言った。
「それも私と龍星だけで良いでしょう」
千の返事には淀みがない。