雅之を見送り、寝屋に毬を運んだ龍星はそっと帯を解く。
 何度もしてきたことなのに、今日はやたらと鼓動を早く感じるのは、いつもより飲みすぎたからか、はたまた恋敵たちの存在を強く感じたせいなのか。

 その緊張が伝わったのだろうか。
 ぐっすり眠っていたはずの毬が、うっすらと瞳を開く。

「もう、夜も更けた。
 今夜はゆっくり休んで――」

 龍星の言葉の途中で、毬はその手を龍星の首に回して抱きついた。

「――欲しい」

 甘えた声で囁かれて、ドキリと心臓が跳ねる。

「毬」

 先ほどまでのゴタゴタで、疲労が募っていることも、首と耳の傷が完治してないことも、理解していて尚、今そのすべてが欲しいと思ってしまう。

 唇を重ねながら、柔らかい毬の髪触れているだけで、今にも箍が外れてしまいそう。