「――ねぇ、龍。
唯亮殿、本当に大丈夫?
何かに憑かれてるんじゃないの?」
夕食を前に、毬は訝しそうに聞く。
「まぁ、疲れてはいるように見えるな」
龍星は肩を竦めて話を逸らした。
「――大丈夫かな?」
「そんなに心配?」
呟く毬を見つめる龍星のほうがよほど、心配そうな顔をしていた。
「うん」
膳を見つめたまま本当に心配そうな顔をしてこくりと毬が頷くので、二人を眺めている雅之のほうがハラハラする。
龍星の眉間には、皺が寄っていた。
「――文、きっと左大臣邸(うち)に届けるつもりよね?
そしたら、お父様、また呪いかなんかと勘違いして大騒ぎになったりしないかしら?」
どうやら毬は、唯亮の心配ではなく、右大臣邸と左大臣邸との間でまたもやもめごとが起こることを真剣に心配しているようだった。
龍星は自分の勘違いに気づき思わず口元を緩める。
「では、万が一にも毬に文を届けたいのならここに届けるように伝えようか?
きっと、この屋敷に忍び込むことすらままならないと思うが」
「いらないわ、どうせお断りする文なんて」
毬はきっぱりそう言って、龍星を見つめる。
唯亮殿、本当に大丈夫?
何かに憑かれてるんじゃないの?」
夕食を前に、毬は訝しそうに聞く。
「まぁ、疲れてはいるように見えるな」
龍星は肩を竦めて話を逸らした。
「――大丈夫かな?」
「そんなに心配?」
呟く毬を見つめる龍星のほうがよほど、心配そうな顔をしていた。
「うん」
膳を見つめたまま本当に心配そうな顔をしてこくりと毬が頷くので、二人を眺めている雅之のほうがハラハラする。
龍星の眉間には、皺が寄っていた。
「――文、きっと左大臣邸(うち)に届けるつもりよね?
そしたら、お父様、また呪いかなんかと勘違いして大騒ぎになったりしないかしら?」
どうやら毬は、唯亮の心配ではなく、右大臣邸と左大臣邸との間でまたもやもめごとが起こることを真剣に心配しているようだった。
龍星は自分の勘違いに気づき思わず口元を緩める。
「では、万が一にも毬に文を届けたいのならここに届けるように伝えようか?
きっと、この屋敷に忍び込むことすらままならないと思うが」
「いらないわ、どうせお断りする文なんて」
毬はきっぱりそう言って、龍星を見つめる。


