「申し訳ないけど、受け取れません。
私――」
直後、ふわり、と、几帳が持ち上げられた。
目の前に、唯亮の姿がある。
「非礼をどうかお許し下さい、姫。
あの日から、姫を想う気持ちが募るばかりで夜も眠れずにいるのです」
一息に告げた唯亮は、そこでようやく天女のように美しい毬の首と耳に白い布が巻きつけてあることに気づき、目を見開く。
「これは、もしや嵐山で――」
「唯亮殿。
若気の至りもほどほどになされよ」
雅之が唯亮をたしなめ、後ろへと引っ張る。
一方龍星は立ち上がり、困惑している毬の頭をそっと撫でた。
「お話がそれだけでしたら、どうぞお引き取りを」
龍星は淡々と告げる。
「――しかしっ」
唯亮は気色ばむ。意を決して、勇気を振り絞り、本日ようやくここに来ることができたのだ。
そして、今、もう一歩のところに憧れの姫が居る。
そうそう簡単に、諦めることができようか。
私――」
直後、ふわり、と、几帳が持ち上げられた。
目の前に、唯亮の姿がある。
「非礼をどうかお許し下さい、姫。
あの日から、姫を想う気持ちが募るばかりで夜も眠れずにいるのです」
一息に告げた唯亮は、そこでようやく天女のように美しい毬の首と耳に白い布が巻きつけてあることに気づき、目を見開く。
「これは、もしや嵐山で――」
「唯亮殿。
若気の至りもほどほどになされよ」
雅之が唯亮をたしなめ、後ろへと引っ張る。
一方龍星は立ち上がり、困惑している毬の頭をそっと撫でた。
「お話がそれだけでしたら、どうぞお引き取りを」
龍星は淡々と告げる。
「――しかしっ」
唯亮は気色ばむ。意を決して、勇気を振り絞り、本日ようやくここに来ることができたのだ。
そして、今、もう一歩のところに憧れの姫が居る。
そうそう簡単に、諦めることができようか。


