砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「雅之が余所余所しいと淋しいわ」

 龍星が余所余所しいのが淋しいとはいえない毬は、本音を紛らせて軽口を叩いた。

「でも、もうしばらく続けないと、だわ」

 そういうと、すうと息を吐く。
 そうして、視線を下げてもう一度上げたときは、大人っぽさ漂う敏腕の女房の顔へと姿を変える。

「遠原殿、承知いたしました。
 案内いただけますでしょうか」

「こちらへ」

 雅之はその雰囲気に呑まれるかのように、毬を連れて皆の後を追った。