砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 しばらくの後、龍星には、外の雰囲気で左大臣の帰宅が近いことが分かった。


 一番面倒なのが、ことが起きた後の説明だ。
 人々は、鬼や妖怪の存在に対して半信半疑だし、納得のいく説明を求める。

「あれは全て鬼のしたことです」

 の一言だけでは、決して納得しないものなのだ。

 今から起きる厄介ごとを想い、軽くため息をつくと、それまで勝手に屋敷の中を調べまわっていた龍星は、まだ何も察していない雅之を連れて玄関に向かった。
 もっとも、雅之は龍星に勝手に振り回されるのには慣れているので、さして何も口にしない。

「龍星殿、うちに何をもたらした?」

 帰ってきて、龍星の顔をみるなり、タヌキがひどい剣幕で一方的に捲くし立てる。

 まぁ、一般的な人の反応だ。
 陰陽師のことは厄介をもたらすものくらいにしか、考えていない。