砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「ご存知ありませんでしたか?」

「ええ。
 そのようなこと、私が知る由もございませんわ」

「右大臣殿が、裏で糸を引いているとしても?」

「……安倍殿。
 証拠もないことを容易く言われては困ります。
 私は、近々入内する身でございますのよ」

 立場の違いを見せ付けるかのように、高圧的に和子が言う。
 もちろん、帝にさえ敬意を表さない龍星がそれに動じるはずもない。

「存じております。
 しかし、あくまでもそれは近々のお話。
 今はまだ、右大臣家の姫でしかございません。
 それに、私はこの件に関して帝から調査権を一任されております。
 ご無礼のほどはご容赦ください」

 丁寧な口調ではあるが、龍星の口調は和子をも凌ぐ高圧的な雰囲気を醸し出している。