砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 大人しくなった毬を連れて、龍星は、先ほどまで毬が寝ていた部屋へと連れて行く。
 もちろん、まだ寝具も片付けてられてはいなかった。

「これ以上、毬に痛い思いをさせるわけにはいかない。
 俺のお願い、聞いてくれるね?」

「別に、こんなの、痛くないもん」

 毬は膨れてみせる。

「毬」

 龍星は宥めるように言った。

「嫌よ。私の仕事なんだから、私が最後までやるのっ。
 それとも、私じゃ役に立たない?
 役に立たないから、こんなところに閉じ込めるの?」

 毬の感情的な発言に、龍星は努めて冷静に答える。

「もう、毬の仕事は終わった。
 ここからは、俺の仕事だ。
 分かって。
 なんて言われても、あなたに実の兄と戦わせるわけにはいかない」

「……」

 冷静な発言に気圧されて毬は、口を噤む。
 龍星は怯える毬をふわりと、いつものように優しく抱きしめた。