「――お願い、火を消してっ」
毬は考える前に、とっさにそう叫んでいた。
龍星は切りかけていた九字を中断し、別の呪へと切り替える。
今まで晴天だった空に突如、雲が現れ、一瞬、土砂降りの雨があたりを襲った。
「――お前、どこまでお人よしなんだよ。
今の一瞬の隙に助かることもできたのに」
あっけにとられていた行家は、我に返って悪態をつく。
「この命、誰かを犠牲にしてまで生きながらえるほどの価値があるとは思いません」
毬は厳しい瞳と低い声でそう言い切った。
行家はその言葉に、太陽を直視してしまったかのように、目を細め顔をそむけた。
それから、改めて龍星を睨む。
「あんたは知らないかもしれないけど、俺と帝は竹馬の友なんだ、ぜ?
ほら、ここに帝と道剣様を連れて来いよ。
それまでコレは人質だ」
不必要に大きな声で、怒鳴り散らす行家。
唾があたりに飛び散った。
毬は考える前に、とっさにそう叫んでいた。
龍星は切りかけていた九字を中断し、別の呪へと切り替える。
今まで晴天だった空に突如、雲が現れ、一瞬、土砂降りの雨があたりを襲った。
「――お前、どこまでお人よしなんだよ。
今の一瞬の隙に助かることもできたのに」
あっけにとられていた行家は、我に返って悪態をつく。
「この命、誰かを犠牲にしてまで生きながらえるほどの価値があるとは思いません」
毬は厳しい瞳と低い声でそう言い切った。
行家はその言葉に、太陽を直視してしまったかのように、目を細め顔をそむけた。
それから、改めて龍星を睨む。
「あんたは知らないかもしれないけど、俺と帝は竹馬の友なんだ、ぜ?
ほら、ここに帝と道剣様を連れて来いよ。
それまでコレは人質だ」
不必要に大きな声で、怒鳴り散らす行家。
唾があたりに飛び散った。


