砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 思わず抱き上げた毬は真っ青だった。大量の出血のせいだろうか。

「毬姫」

 着物を裂いて、肘にきつく巻きつけ止血した。
 どうして、それさえも雅之にやらせなかったのか。

「……はい……」

 龍星の呼びかけに、毬はようやく我に返って瞳を開ける。
 そして、龍星を頭から足まで見回して力なく微笑んだ。

「良かった。怪我とかしてなくて」

 耳を疑うような衝撃的な発言に、およそ何事にも驚かない龍星の心臓が、今回ばかりはどきりと跳ねた。

「さっき、私に桜の花びら渡してくれたのは、別の方ですよね?」

 龍星の動揺には微塵も気付かない様子で、祈るように毬が問う。

「桜の花びら……ですか」

 心当たりもなく、何のことかと考え込む仕草を見て、毬は唇をかんだ。