砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「護符……」

 その言葉に、ふと、止血していた手を外して、護符を探り出した。


「ぃいやあぁぁぁあっ」

 目にした途端、眩暈がしそうなほど驚き、ぞっとして思わず恐怖の声をあげ、慌ててそれを床に振り払った。

 懐に入れておいた護符が、真っ黒な墨で塗り潰されていたのだ。 

「毬姫?」

 まさに今、鬼との戦いを終えて土蔵から出てきた龍星は、即座に入り口に護符を貼った後、床に伏した毬に声を掛けながら、駆け寄った。


 そして、あっけにとられて立ちつくしている雅之に

「医師を呼んできてくれ。
 姫は俺が連れてあがる」

と、冷静に指示を出した。