「龍星よりもっと強いモノが現れたら……。
 龍はやられちゃうってことじゃない?」

「だから、都一強いってことはそういう輩は存在しないっていうことだろう?」

 毬は話が通じないじれったさを隠さない。

「うーん。
 でも、実際比べたことがないから分からないのは雅之の笛と一緒じゃない」

「困ったな」

 雅之は困惑を隠せないまま、頭をかく。

「だけど、信じたいんだろう?
 それとも、疑ってるの?」

「信じたいに決まってるじゃないっ」

「じゃあ、信じて待ってあげなよ。
 毬だって、良い子で留守番してるって信じて帰って来てほしいでしょう?」

「毬は良い子で留守番してるもんっ」

 言葉をそのまま繰り返し、また、ぷくりと頬を膨らませる。
 雅之はぽんとその頭を叩く。

「じゃあ毬も信じて待ってあげなきゃ、ね?」


 信じて待つ。
 何度言われても、何度聞かされても。


 これが、毬にとって今一番難しいことだった。