「よくまぁ次から次に思いつくものだな」

 周りに人が居ないのを確認し、雅之が感心した声を上げる。

「そうでもない。
 まだ、確認していないことがあるからあれでも計画は穴だらけ。
 後は臨機応変に対応していくほかないだろうなぁ」

 龍星は少し疲れた声で言うと、

「本日の仕事が全て終わったところで、俺はそろそろ帰るとするよ。
 時間があったら今夜うちに来てくれ」

 と、一方的に告げると返事も聞かずにふらりと陰陽寮の方へと歩いていった。


 雅之はその、優美な後姿を一瞬眺める。

 あれは、本当に疲れているのか……
 それとも疲労を装っているだけなのか……

 雅之が頭を悩ませたところで、真相など分かるはずもなかった。