砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「死にたく、ない」

 しゃがれた声を振り絞り、喉の痛みを堪えてそう言う。

 しかし、龍星は何も聞こえないかのようにその瞳を動かさない。
 大蛇は無遠慮に道剣に顔を寄せ、生暖かく生臭い息を遠慮なくその顔に吹きかけた。


「誰が黒幕なんですか?」

 今夜抱いても良いですか?と、毬に問うような甘い口調で、もう一度龍星は問う。
 それ以外の返答にはいささかの興味もないようだった。


 尋問の最中に相手が死んでも、別段関係ない、彼の無表情はそういっているようにも見えた。
 おそらくは、彼が死ねば大蛇に死体を食わせて――それですべてを終わらせる気なのだ。

 自分は、その美しい指を血に汚すこともなく。
 虫も殺さぬような美しく、涼しい顔をしたままで。


 そもそも、龍星の力を持ってすれば、あの紙人形に呪でもかければ真相を聴きだせるのかも知れぬ、と、道剣は感じた。もちろん、自分にはそんな力は無いが。