砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 龍星にきっぱり言い捨てられ、毬は眉間に皺を寄せる。

「じゃあ、どうすればいいの?」

 龍星は、ふと、その瞳を伏せる。

「ここに居ればまず安心だから。
 しばらくはここから出ないでくれる?
 そして、もう一つ」

 龍星は言葉を区切って毬の髪を撫でる。
 これを言うのは忍びなかった。

 毬の頭に唇をつけ、その頬を撫で、耳元に唇を寄せ甘く囁く。

「大変申し訳ないのだけれど、男物の着物を、全部、片付けてくれる?」


 予想もしないことを言われた毬は弾かれたように顔を上げた。
 今にも泣きそうな潤んだ瞳を、慌てて強くぎゅっと閉じる。