砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 二人の静かな酒宴が終わり、さらにしばらくの時間が経った頃。


 ……嫌だわ。

 不意に目が覚めた毬は、自分で自分を抱きしめながら心の中で呟いていた。

 昨日、記憶がないことが、どうしても赦せない。
 何かに乗っ取られたことが、恨めしくて仕方が無い。

「毬。
 怖い夢でも見た?」

 隣に寝ていた龍星が、異変に気づき瞳を開けてそっと声を掛けた。
 毬は震える身体で、龍星の寝具に入り込む。

 龍星の体温を感じる暖かな寝具。
 その胸に顔を埋める。

「龍、お願い」

「何?」

 切羽詰った声に、龍星は優しく声を掛け、その震える肩を抱きしめた。