「そうか、ありがたいことだな。
 しかし、こうも次々と困りごとが重なると、誰に何を頼んだら良いかも分からなくなるな」

 龍星は吐き捨てるように言う。
 先ほどから気持ちばかりが先走って、冷静に考えを纏めることが出来ないでいるのだ。

 ……せめて、憑巫(よりまし)が、毬で無ければ。

 他の誰でも、たとえ親友の雅之であったとしても、毬でなければもう少し冷静でいられるのだが。

 龍星はとりあえず、預かった書状を開き中身を確認した。
 そこには、今日の陰陽法師の取り調べの成果が書いてるはずだった。


 しかし。
 特にめぼしい進展はなかったようだ。

 こちらもそろそろ、自分が出て行かねばならない頃かもしれない。


「俺では、何の役にも立てないかな?」

 眉間に皺を寄せ、再び自分の世界へと入っていく龍星を見て、雅之がぽつりと呟いた。