龍星はそっとその額に唇付けると寝室へと毬を連れて行く。
 誰にも解けないほど強く部屋を封印し、華に見張りを命じた。そして、雅之宛に式を飛ばすと、自らも急いで自邸を後にした。

 京の都は気味悪いほど真っ赤な夕焼けに照らされている。

 手をつけなければならない問題は山積していたが、どれもこれも一筋縄ではいかないものばかりだ。


 龍星は整った顔に、滅多に浮かべたことがないほどの苦悶の表情を覗かせていた。