砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「暇つぶしでよろしければ」

 重苦しい空気を切り裂くような凛とした声をあげたのは、それまで一言も口を開かなかった毬だった。

「私を傍に置いてください」

「元服前の小童(こわっぱ)を?」

 帝が目を細める。

「それであれば、今すぐ元服致しましょう」

 龍星は息を呑んだ。

 何を言い出すんだ、この姫は。


 あれほど、裳着を嫌がっていたのに。

 元服を、するって……。
 髪をばっさり切るつもりなのか?

 しかも、この御所でしかも帝の傍で働くと……?