はぁ、と、使いのものは息を吐いた。
 言いたくもないことを言わされていることが如実に伝わる。

「私も再三再四そう申し上げたのですが、どうしても連れてこなければ自分がここへ出向くとおっしゃっております」

 毬は龍星の三歩後ろにそれこそ影のようにいるだけで、どのような表情も見せなかった。

「あのお方がそこまで仰るのであれば……いたしかたないですね」

 龍星は諦めて、立ち上がった。
 童部姿の毬も静かにそれについていった。



 後に残るものたちは、あの美青年と美少年はとてもお似合いだとか、浮ついた女性の話が今まであがってこなかったのは男色だったからなのだろうか、などと、下卑た噂話で盛り上がるのだった。