「で、雅之。
その噂の続きを聞かせてもらおうか?」
「続きまでは聞いてない」
からかい半分の龍星の言い草に、雅之は肩を竦める。
「……裏切り者が、見つかったの?」
毬は不安そうに龍星を見つめる。
龍星は、その視線を正面から捉えると紅い唇で緩やかに微笑んだ。
「いや。
裏切り者は中にはいないよ。
あの男は疑っているが、それは断言できる。
毬、陰陽法師って知ってる?」
「知らない」
「民間の陰陽師とでも言うべきかな。
陰陽道を覚えた僧侶というか。
あれがあの事件の黒幕だ」
「今回のって、お父様と白のお話でしょう?
それは、雅之も教えてくれないの。
龍、教えて」
毬は首を傾げて、龍星を見上げる。
毬本人は自覚がないのだろうが、仔犬が甘えてじゃれつくようなその仕草と表情に、龍星はとても弱いのだ。
思わず口元が綻ぶ。
「いいよ。
でも、その前に夕食をとってからにしよう。
今日はお腹がすいたでしょう?」
「ええ。
食べられる気がするわ」
久しぶりに動いた上に難題を突きつけられて久々に脳みそを目一杯回転させている毬は、さすがに空腹を覚えていた。
華が美味しそうな夕食を運んできた。
冷やした西瓜も一緒に。
その噂の続きを聞かせてもらおうか?」
「続きまでは聞いてない」
からかい半分の龍星の言い草に、雅之は肩を竦める。
「……裏切り者が、見つかったの?」
毬は不安そうに龍星を見つめる。
龍星は、その視線を正面から捉えると紅い唇で緩やかに微笑んだ。
「いや。
裏切り者は中にはいないよ。
あの男は疑っているが、それは断言できる。
毬、陰陽法師って知ってる?」
「知らない」
「民間の陰陽師とでも言うべきかな。
陰陽道を覚えた僧侶というか。
あれがあの事件の黒幕だ」
「今回のって、お父様と白のお話でしょう?
それは、雅之も教えてくれないの。
龍、教えて」
毬は首を傾げて、龍星を見上げる。
毬本人は自覚がないのだろうが、仔犬が甘えてじゃれつくようなその仕草と表情に、龍星はとても弱いのだ。
思わず口元が綻ぶ。
「いいよ。
でも、その前に夕食をとってからにしよう。
今日はお腹がすいたでしょう?」
「ええ。
食べられる気がするわ」
久しぶりに動いた上に難題を突きつけられて久々に脳みそを目一杯回転させている毬は、さすがに空腹を覚えていた。
華が美味しそうな夕食を運んできた。
冷やした西瓜も一緒に。


