砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 彼女の心が解(ほぐ)れたのを見届けて、龍星は改めて問う。

「九尾の妖狐(きゅうびのようこ)に会った?」

 毬は記憶を辿りながら首を捻る。

「尻尾は八つだったと思うのだけど」

 ふう、と龍星は息を吐く。

「一本、俺が切り落とした」

「……?!」

 毬は目を丸くした。


「俺の先祖に安倍晴明(あべのせいめい)って方がいてね。その方の親が狐だという話があるんだ」