砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 毬は独り、目を閉じたまま。

 川のせせらぎ。
 カラスの鳴き声。
 人々が行き交う音。

 目を閉じていると、普段見逃しがちなささやかな物音がはっきり耳に飛び込んでくる。



 柔らかな衣擦れの音。
 大好きな香(こう)の匂い。


 それが優しく近づいて来るのが分かったから、不意に抱き締められても毬はさほど驚かなかった。