砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 毬はゆっくり瞳を閉じる。

 このままで良いはずもないのに、どうしたら良いのかまるで見当もつかない。


 左大臣家に今更戻るわけにはいかない。
 記憶が戻ったことにして、帝の側室になれば良いのだろうか。でも、それは千をひどく傷つけることになるだろう。



 どこに行けば、
 何をすれば、
 どうすれば、良いの?



 毬は奥深い山の中で、道を見失ってしまった小鹿のように、暗く重く不安な気持ちを覚え、橋の欄干で瞳を閉じたまま動けなくなってしまった。


 太陽はゆるやかにしかし着実に西へ西へと傾いていく。