雅之みたいに、何かしらの努力をしたわけでもなく、
 千のように、自分の立場を作り上げたわけでもなく、
 帝のように、生まれた時から決められた枠の中で精一杯振る舞うわけでもなく、
 龍星のように、持てる力の限りを尽くし、鬼と戦うわけでもない



 これでは、嵐山を彷徨っていた時と何ら変わりがない。
 口ばかり達者で無い物ねだりしているだけの、ただの子供だ。


 いくら、自由に走り回る男の子に憧れ、よしんばそれになれたとしても、数年後からは宮仕えが待っていて、そうなればもう自由なんて手放すほかない。


 そういう意味では男も女も大差ない。



 ……そんな、誰でも分かっていて受け入れていることに気付くのに、どうしてこんなに時間がかかってしまったのかしら。