『龍星にはそんな風に答えちゃ駄目だ』


「キツネの話を耳にして」

 慌てて言葉をすり替える。

 誰が見てもバレバレの嘘だ。

「龍なら知ってるかなあと思ったんだけど、また、後で聞けばいっか」

 毬は敬語も忘れてそう言うと、ニコリとよそ行きの笑顔を浮かべた。


「お姉様、急ぎで聞きたいことなど、特にございませんわ」


 失礼します、と、丁寧に頭を下げ、毬は御所を後にした。