砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「下心……って、まさかっ」

「あら、そんなに驚くことかしら?」

 からかいの笑いを含んだ千に向かって、毬は必死に言い返す。

「だって。
 龍は私のことが心配で何も手につかなくなるから、左大臣家に帰れって言ったのよ」

「あらあら。
それは恋の告白以外のなにものでもないと思うけど?」


 千にあっけらかんとそう言われて、毬は動揺のあまり黙りこくってしまった。


 しばらくの間続いた沈黙は、遠くの方から沸き起こった、ざわざわと色めきたつ声に破られた。